イリーメイアの瞳 〔4〕
時間とページと作者の都合で、早々と日本に着いた二人。
「まったく、どうして僕がお守りをしなきゃならないんだ」
「それはこっちの台詞だよ。でっかい弟」
「減らず口叩いてるとその口に○○○を突っ込むぞ」
「ごめんなさい。許してください」
「よしよし」
「どうしてこんなのが実の兄なんだろう」
「何か言った?」
「何か聞こえた?」
やいやい言いながらロビーを進んでいく。
するとそこへ、人ごみをかき分けながら女の人が走ってくると、
「わ!」
「きゃ!」
見事にシャードとぶつかった。
「いたた・・・」
どってりと地にぶつけたおしりをさすりながら、ぶつかってきた相手を見る。
「あたた・・・、ご、ごめんなさい! 大丈夫?!」
長いつややかな黒髪に、少しきつめだがはっきりした瞳。
言ってしまえばかなりの美人。
「あ・・・」
シャードが嫌な予感に声を出す。
「な、なんて美しい・・・」
「え?」
「あ〜、また病気が・・・」
「僕! シャードって言います! あなたは?!」
「え?・・・あ、私は・・・メイ・・・」
「メイ・・・、なんて美しい名前なんだ。僕と付き合ってください!!!」
「はあぁ?」
「ちょ、ちょっと待て!!!」
メイの両手をひっつかんで離さないシャードをそれ以上近づかないように押さえながら、
「そんなことしてる場合か! 仕事しろし・ご・と!」
「うるさいやい! 世の中には仕事よりも大事なことがあるんだよ! お子様には分からないだろうけどな!」
「今は仕事の方が大事だということはよく分かる」
「お子様は黙ってろ!」
「お子様言うな! 万年振られ男!」
「なんだと! 僕だって・・・僕だって・・・うう。そのうちに運命の女神が現れるんだー!!」
「そうやって何度振られてるんだ万年振られ男!」
「お子様に分かるもんかー!」
ロビーの真ん中でぎゃいぎゃいやかましい兄弟喧嘩を繰り広げる二人。
いい加減に手を離してくれないでいるシャードの手と、目の前で続く兄弟喧嘩をどうしようかと、メイはおろおろと二人を眺める。
「あ、あの・・・」
「なんでしょう!」
メイの言葉に即座に反応するシャード。
「おい! 僕を無視するな!」
「あの、実を言うと、先ほど引ったくりに会ってしまって、困っているんです」
「それは大変だ!!」
大げさに反応するシャード。
「見たところ、とても気品のありそうな方たちですし、よろしければ助けて頂けませんか?」
気品のありそうなという言葉に反応し、サームシャも顔がほころぶ。
「え? あ〜、そういうわけなら、困っている人を見捨てるわけには・・・」
「僕でよければなんでも!!!」
相変わらず離れないシャードの手を何とかしようとさりげなくもがきながら、
「あの、実は、私、人を探していて・・・。それで訪ねる途中だったんです。よろしければそこまで連れて行っては頂けませんか・・・?」
「もちろん! いいですよ!」
「いいですよ。ご一緒しましょう」
「ありがとう!」
その時、シャードの瞳が怪しく光った。
「・・・サームシャ、ちょっと話が・・・」
「何?」
それまでビクともしなかったシャードの手がするりと解ける。
「メイさん、ちょっと待っててくれますか?」
にっこりとメイに向かってさわやかに微笑む。
「? はい」
荷物をメイに任せ、シャードがサームシャを連れて物陰に入っていった。
![素材満載 ブログで作る かんたんホームページ [CD-ROM付き]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/61XF13WMY1L._SL160_.jpg)

